ベイビーアルファに心が躍らなかった訳 |
『スカッとしたクルマに乗ってみよう』とアルファの門を叩いてみた。
お目当てはベイビーアルファことMito(彼の地ではミートというらしい)。
残念ながら(訳あって)今回は証拠写真はありませんが信じる人だけ信じましょう(笑)。
ショールームには濃いブラウンメタリックで内装がベージュと言われる赤茶のモデルが置いてあった。
しばらく営業氏をあれこれ話すが、早く乗りたくてうずうずする。
試乗車は道を挟んだ向こう側に置いてあってイエローの特別仕様車だった。
ぷりっとした量感のあるボディーは若い女の子ってところ。
オヤジには女子高生を見るようでなんだか目のやり場に困るという雰囲気。
さすがアルファはこういう演出に抜かりが無いのだなと思いながらドアノブに手をかける。
『ロックかかってますが・・・』
ことのほか重いドアハンドルに思わずこう言った私に
『ぐっと引いてください』と営業氏。
ぐっと引くとボンと黄色いドアは開いた。
へえ〜〜最近はアルファもがっちり造ってるんだねえと感心した瞬間。
まあ、これは敵の思うつぼなんだろうけれど・・・。失礼。
試乗車は右ハンドルの6FMT車。
早速乗り込んでシートを合わせてクラッチ踏んで・・・あれ?カル!!軽いクラッチですな。
1.4Lと言えどターボで武装したスポーツバージョンではないの?
エンジンはキュルッと簡単に始動。あれ?キー回した記憶が。
まあ、細かいことはさておき早速その軽いクラッチリリースして走り出しましょう。
『クルクルクルクル〜〜〜』とステアリングも軽いなんてもんじゃない。
電動だと思うけど電動ゲーム機位の軽さ。
クラッチといいステアリングといいこのクルマがもの凄く軽い物体であるかのような演出なのだな。
気を取り直して車線に合流して走り出す。まずは軽くアクセルペダルを踏んで、と。
『オソ!おいおい遅いぞ!』
さっきまであんなに軽いクルマだと思ってたのに今度は重いクルマに乗ってるような遅さ!!
『シフトの前のスイッチを前に押し続けてみてください』とはナビシートの営業氏。
私の驚く様子を楽しんだかのように・・・。
小さなスイッチはコンパクトFF車のお約束で低い(手元から遠い)ところで押しにくいけれどがんばって押してみた。小さなインジケータランプが点灯して、メーターパネル内に・・・(よくわからない文字)が浮かび上がって.....。
『ギュイ〜〜〜ン!!』速いじゃん。
いままでもっさりしてやる気全然ありませ〜んみたいに適当に流してたベイビーアルファは突然性格を変えてきた。
ターボが下からグングン効いて、同時に羽のようだったステアリングもグンと重みを増す。
レッドのはじまる6000あたりまでカウンターが元気に上って行く。
実はギャンギャン回しても結構静かなベイビーで、ロードノイズも非常に少ない上に路面の不正も拾いにくい性格の良さがあるんだな、これ。
でもギャンギャン回しても周りの流れを少々リードするくらいだと後で気づいた。
冷静になって考えればギア比が低い設定で加速(感)重視なのだろう。
ブレーキのタッチも甘さも無く、車重に見合った制動力を発揮したと思うけれどこれも冷静に考えるとややスポンジーな印象がMINIなんかと比べれば感じられるように思う。
内装の質感も高からず低かずだけれどシートは厚みがしっかりあって素敵なタッチをケツに伝えて来た。
後部座席にも乗り込んでみたけれどお約束通りというかこういうところはきっちり造るのがイタリア車。らくらく乗れる。というより座面の厚さや触感はMINIよりはるかに快適だと思ったくらい。
リアハッッチは窓下のアルファマークの上を押し続けるとロック解除する電気式のオープナーが備わっていて『ボン!』とパッキンの力で少し持ち上がるように開く。
結構良く出来てるなと思わせる。
リアシートが分割可倒式になっていないのはゴルファーとしての減点ポイントだけれどそれより気になるのがリアシートの裏側が鉄板むき出しなところ。
機能になんの問題も無いんだろうけれどこういうところがイタリアだなって思うと微笑ましくもあるかな。
細かいところまで見たり、山を走ってないから何とも言いがたいところはあるけれどこれは明らかにアルファによってチューンされたフィアットだと。
ただしボディー各種の質感はコンパクトクウォリティーを具現化しているとおもう。
私が古くさい人間だから鉄板あれこれやそんなそういう細かいことは言わないけれど(言ってるって?)ドイツのメーカーのような徹底した品質の追求はされていないのが実情。
営業姿勢を含めて『お好きならどうぞ』というある種の放任主義が好みを分ける。
私は最後までなじむことが出来なかったけれど・・・(笑)。
正直、クルマは悪くないどころか楽しいおもちゃとして、また各部の作りの良さから本気の根幹が感じられる。
ただしこの歳になると意外と美味いものを知っているのがつらいところ。
若いユーザーにエントリーカーとしてぶつけてると判断する。
個人的にはこのクルマ、間もなく登場する予定の新型AT(新しい自動変速機らしい)が出力も抑え気味にされるらしいそのモデルが女性ユーザー初めやや愛玩的に扱われるのがよろしいかと思った。
また、元気な方用にはパワフルな MTモデルも用意すると聞いた。
その新型のラインナップの登場を待ってゆっくり選ばれることをお薦めしたい。
ほんとは試乗に際して免許証のコピーを取られたことでかなり気分がブルーになったので試乗を止めようかどうしようかと悩んだあげく乗ってしまった悲しい記憶は二度と消せない。
今後のディーラーの対応のカイゼンを期待する。
アルファよ、また別の店で会おう!