高速輸送トラックのモラルに一言 |
横浜町田付近は強烈な雷雨に見舞われていた。
どのクルマも厚木迄の長い渋滞を懸命にこらえた後だけに疲労はピークだったはず。
そこへ目も眩む程の雷と大粒のシャワーが襲いかかったものだからたまらない。
平均速度は60〜70Kmを維持する事が安全策。
当方のクルマのように見晴らしが良く、AWDの恩恵のあるクルマは極めて安楽な運転が出来る事がありがたいがそこはそれ。皆が並んでいるのだから足並みはそろえたい。
追い越し車線の当方の前をゆくトヨタのワゴンが分厚く溜まった水たまりにハンドルを取られて修正を繰り返している。
ちょうど危険を感じてフロントリア共にフォグを点灯させて後続車を確認した時だった。
パパッ、パパッ稲光の100万分の1程の光量が背後から浴びせられた。
中型トラックのパッシングだ。しかも車間距離は1〜2メートル程(感覚的だが)
低い位置にライトを装着したタイプなので判りにくいこともあって気がつかなかったのかもしれない。
しかも前方はずっと詰まっていてどうする事もできないのに・・・・・・
暫くその“暴走トラック”を無視してそのまま走行を続けていたが、左右に車体を揺すりながらパシングを始めたではないか。豪雨の中でだ。
それに気付いた前のトヨタが危険を顧みずスピードを上げ始めたその直後にトラックは我が車の左側へ入ってきたのだ。その車線もそのまた左車線も並列に走っていて進路は閉ざされているにもかかわらず。
そしてまたもや車体を揺すり始める。
あまりに危険な行為にアクセルペダルから力を抜き、前方の車間を確保した。
そのトラックはグワ〜〜ッとばかりに盛大に水煙を上げてクイックなステアリング操作で直前に飛び込んできたかと思うと左右に車線を変えながらぐんぐん彼方へ走り去って行った。
彼の(横に来たときに若めの男性だと確認)置かれた状況がせっぱつまったものであったかどうかは慮れないが、彼の行動自体はとても危険で許されない行為だと言える。
ましてや職業運転手(レンタカーでもなかった)なのだ。
高速道路で積み荷は落下させるなんて日常的。
これとて後続車に大きなダメージを与え、なおかつ死亡事故さえ誘発している。
私自身今回のレンジスポーツになったことで一番気を使っているのがやはり運転マナーだ。
小さなクルマがミズスマシのように路上をスイスイ走り回るだけでも捕まる訳だが、大きなクルマがこれをやったら完全に危険行為である事は誰の目にも明らかだからだ。
より質量のあるクルマの運転は一層の優しさや思いやりや正確な操作がなければならないのだということを職業運転手ともあろうものが知らなかったでは済まされない。
全てのトラックがそうであるとは思ってはいないが20年程前からこう言う運転手は確実に増加の一途をたどっていることは間違いない。
ついでに言うが一部の路線バスの我が物顔の酷い運転にも苦言を呈したい。
私が先般イタリアへ行ってきたことはご報告の通りだが、彼の地の運転マナーは素晴らしい。
まずはバスやトラックは一律速度規制が厳しくかけられていてトラックの車両の後ろに速度規制の“50.80”とかステッカーが貼られている。バスはちょっと違ったのかもしれない。
三車線あれば一番右(日本で言う一番左の走行車線)をゆっくりと列を成して走っている。
我々の乗ったバスがそれをこれまたゆっくりと追い越して行く。
聞けば大型車両の速度規制や通行規制がことさらに厳しく取り締まられていて(というか決められていて)違反を行う運転手はほとんどいないのだと言う。
マラネロ付近ではそのまた左をフェラーリがテストコースよろしく200km以上で追い越して行くといった具合なのだがそれはそれで喜びの拍手を送っている国民も国民だが。
また、都市部への大型トラックの進入禁止や高速道路の大型車土日走行禁止などは世界の名だたる大都市ではあたりまえの常識なのだ。
それによる物流の弊害はあろうかと思うが工夫次第で何とでもなろう。
日本の道路環境が先進国の中でもあまり評価されないのは物的評価ではなく、こうした危険性の回避の為の方策が全く(といっていいほど)講じられていないからに他ならない。
また、若者や運転初心者への道路上での運転手のモラルは一体誰が教えたらいいのだろう。
これは政治家や教師の問題ではなく国民一人一人の中にきっちり構築された社会のマナーレベルが基準になるのだ。
関東地方の季節外れの強烈な雷雨の中、参院選挙の開票が始まったのは何かの必然なのだろうと思いながらハンドルを家路にステアした。