スマートフォーツー |
かねてから一度は乗ってみたいと思っていたスマートは思った通りの車だった。
大排気量重量車に乗る身として、やはり反意的な自動車への思いは捨てがたい。
誰から見てもエコというばかりかこのクルマの全長は都市部の渋滞緩和の為に大きな役割を果たしている。
昨年訪れたミラノの街の裏通りといわず表通りといわずこの車で溢れていたことを今でもおぼえている。
そのユーザーは老若男女問わずであり、また経済的にも満たされている風がとりわけ自動車先進国を思わせた。
先頃フルモデルチェンジを果たしたこのマイクロカーはメルセデスとは別種の成り立ちをした言わば親戚の子を養子縁組みをした末弟と言える。
しかし今やメーカーごとのエコレベルの規制はメルセデスがこの車を持つことで大いに貢献しているわけであり今回のフルモデルチェンジも彼の“美国”での規制に大いに役立つ車種である事は容易に察しがつく。
というわけで新型は世界戦略エコカーとしてパッシブセイフティーを大幅にアップして生まれ変わった訳である。
TMSのレポートで見たそれは独特の“生物的デザイン”がやや薄れたとは言え、充分にユニークでファニーなデザイン。
むしろ普通感が強まってフレンドリーになったと思った。
そして実車を前にするとより一層その思いは強まった。
『国産車の方がエコで上出来』と言う声もそこかしこから聞こえてくるが、ここではオリジナリティーに一票を投じたい。
さて展示車は黄色のフォーツークーペだったが試乗車は吊るしの白。
テッチンホイルが良く似合う。
内外装含めデザインについては好みの別れるところだろうからそれぞれの思いに任せます。
大きなドアを開けて乗り込む。大きいというのはドア丈が高い上に窓が後方で一部開け残るため小さな三角窓のせいだ。
『ぱしゃん』といかにも軽量なドアを閉めるとエンジンは既にかかっていて『ぷるるるるるる〜〜』とアイドリングの振動が伝わる。
『ああ、これって3気筒だっけ』と思う場面。
隣の席に営業氏が同乗したが気にならないレベル。ましてや麗しい女性なら歓迎的距離感。
MTだといやが上にも助手席の誰かの脚に手が当たるからいろいろ考えて乗らねばならんですな。
さてソフタッチと呼ばれる2ペダルシステムを適宜説明を受けるがとりあえずATモードで走りだす。
『ぷるるるるるる〜〜〜〜〜!!』
え〜〜っとなんだっけな?この感覚は。この適当に振動が入って来ていながら何かしっかりした感じは・・・。
ぎくしゃく変速しながら暫く走っていたら思い出した。
これはシトロエン2CV!。マニュアルで乗ったらきっとあんなかんじ。
国産エンジン(三菱製)積んでてもこの3気筒はあっち系のフィーリングがたっぷりだ。
交差点の赤信号に強めのブレーキ!!
『効かないよ〜〜!!』
この車の名誉の為に言い直しますが『効きが悪く感じる』というもので決して効かないと言う事ではないのだけれど今時のサーボタップリのブレーキに慣れ親しんだ身体にはこの一種農作業機械系のフィーリングはちとスパルタンだ。
個体差かもしれないし、車体が軽量だからそれなりに停まるとは思うけれど女性ドライバーの方々はぜひ試乗してからお買い求めになる事を薦めます。
でもステアリングは結構良い。きっと走り出したら電動介助を切っちゃってるんじゃないかな?。
それほどしっかりしたフィーリングが出ていて個人的好感度は高い。
『ぷるるるるるる〜〜〜〜』って走ってるとなんだか平和な気持ちになってくるところはすごいな。
専門各紙では意外と評価が低いけど個人的には二十丸。
『意外に高速もいけますよ』と営業氏。
言われるより以前にそう感じてた。というかそこがダメだと一般的に見たら良いところ無いかもという感じ。
っていうか日本国内でも東京や大都市の市街地よりも郊外や地方都市の流れやスケールの方が合いそうだし楽しそう。
時速で言えば50km以上100km未満がジャストフィーリングなのでは?
そしてストップアンドゴーの少ないのが良いのだろうと思う。
ということは『エコエコゴルファーズエクスプレス』として最適ではないかと思う訳。
まあ、だから気になってた訳なんだけど・・・・ど。残念ながらキャディーバッグをマトモに積もうとすれば一人でそうぞ!
助手席シートバックを倒して積むしかありません。
2バッグを積もうとすれば長いものを出して横に積んでそのあぶれた長いのはシートの後ろの隙間に別途斜めに差し込むという方法はあると見た!。
でもって手荷物二つ積んだら絶対後ろは見えないだろうな〜〜って。
このクルマ、取り立てて燃費が良くもないけれどそのサイズがエコ。
デザインは確かに普通になってどうやっても軽ナンバーには納まらなくなってしまったけどこの車のプリミティヴさは捨てがたい。
言えば小さな車を作り慣れていない人たちが『所詮セカンドカー』的な意識で作っているように感じられるこの車のタッチは、かつてのヨーロッパの小型車としてのDNAを感じる事が出来るのかもね。
ひとことで言って『我慢の美意識』を持てないと乗れない。
そんな車だね。スマートは。
結構欲しくなってる自分が怖い!!