モールトンという自転車 |
オフィスから徒歩5分の場所で開催されているモールトン展をのぞいてみた。
自転車という乗り物は経済的で便利な道具という概念だった自分。
この自転車に関してはそんな価値観で見ることは出来ない。
価格が高いとか安いとかそう言う話ではなく(もちろん高いんだけれど)、アレックス・モールトン博士の研究から生まれたこの自転車はほかのどんなものとも違う孤高のマシンなのだ。
小径ホイールは空気抵抗の軽減にはじまり軽量化や重心位置を下げる効果を生み出していると書いてある。
見た目に違うのはやはりフレームなのだと思う。
一般的なチューブ型の鋼管を溶接したものとは違いトラス組の美しいフレームはその美しいバランスに決定的なデザインを与えることになった。
展示品の初期型のものも今見ても新鮮で美しいが、最終的にこの自転車を“最高の乗り心地”と言わしめたのは独自のサスペンション形式なのだと思う。
フロントにリーディングリンク。リアにラバーコーン式のサスペンションを備えたこの自転車は小径車輪のネガを完全に払拭するばかりか人間の漕ぐという運動能力を効率よく伝達させる役割をも持ち合わせるのだと言う。
聞けば聞くほど、見れば見るほど楽しいクルマだ。
上級グレードはサスペンションにリアがハイドロでフロントがフレクシターというなんとも凝った代物で見た目もメカメカしくて美しいうえに、フレームが全てステンレストラスともうなんだか自転車であって自転車でない佇まい。
お値段もリッターバイクを遥かに超える一種の工芸品の域なのだ。
一見さんの自分には遥か彼方の空遠く・・・。
7/4まで開催されているようなのでお近くの方は出かけてみられたら面白いかもしれない。
自転車好きでなくてもこの一途な徹底ぶりに心をとらえられてしまうかもしれない。